「食の国」イタリア、さて病院食はどんなもんでしょうか?
リチャード・ジノリ ピノキオマグ。
ピノキオがイタリア人だってご存知でしたか?まず朝食。ワゴンに数々のポットやバスケットを乗せて、
フライトアテンダントのように係りのおばちゃんが登場します。
「あなた、手術したの?
じゃァダメね、朝食は無し!(きっぱり)」
「隣のあなたはどう?今日は食べても平気なの?」
という風に、おばちゃんは患者の状況を全く把握していないらしく
患者一人一人に食べられるのかどうかを尋ねています。
おばちゃん、でもそれって危険なんじゃ…??
私の場合は術後2日目、手術をしてくれた婦人科長が
様子を聞きに来てくれた直後のおばちゃん来訪だったので、
このときばかりは彼女もしっかり確認したらしく、
(上司の前でいい格好をしたいのは万国共通)
「カフェラッテ?それとも紅茶??」
といきなりチョイスを迫られました。
あせる私。
うーん、家ではいつも紅茶だけれど、ここはコーヒーの国イタリア…
どうしようどうしようどうしようどうしよう迷った末に紅茶をチョイス。
するとおばちゃん、間髪を入れず、
「コップはどこ?」…こ、
コップ? …ど、どこって聞かれても…
私、入院患者なのでコップは持っていませんが…
しかし困っておばちゃんを見つめる私に彼女から聞こえてきたのはなんと、
ちっ!という舌打ちする音…
そこで思い出したのは、入院前夜に夫が言っていたひとこと。
「マグカップ持っていかなくちゃダメだよ」
しかし私は爆笑しただけで実際にカバンに入れることはしなかったのだ。
まさかイタリアにおける患者の心得だったとは…
隣の部屋にパジャマを持ってこなかった患者がいて
夫と一緒に笑った私だけれど、
もしかして今、私って彼女と同じアホさ加減なの??
おばちゃん、ごめんなさい。私マグカップ持ってきませんでした。
三角になるおばちゃんの目。
ベッドの上で恐縮する術後の私。
何度も言いますが、おばちゃん、私、患者なんです…。
しかしどこからか茶碗のような持ち手の無いカップを調達し、
おばちゃんは私のために紅茶を注いで渡してくれたのでした。
だけどカップの淵ギリギリまで並々とそそがれているため、
ベッドに寝たきりの私には到底飲むことは出来ません。
うぅ…。
一緒にビスケット二つ入りの袋を置き去りにして、
おばちゃんは去っていったのでありました。
手の甲から思いっきりチューブが下がってるもので、
袋だって一人じゃ開けられないんですが。とほほ。普通イタリア人は、家庭でも朝食はこんなもの。
カプチーノにビスケットを浸し、やわらかくしてから口に運びます。
だから術後でもOKなんですね、きっと。
離乳食みたいなもんだもんね。
ちなみに紅茶はレモン風味でした。
(その後すぐに夫が到着したので無事完食)
ビスケットは機内ででるようなもの、と思っていただければ良いかもしれません。
明日はカフェラッテを頼んでみよう、
夫がマグカップを持ってきてくれるなら…。そう思った初めての朝食でした。
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